こんにちは。今回は
  • 「制定しよう 放射能汚染防止法」(山本行雄著、星雲社)
  • 「第3章 環境基本法改正と国会の機能不全」
  • 「3‐02 遂に環境基本法改正 放射性物質は公害原因物質になった」
  • についてお話してみたいと思います。

    環境基本法13条削除

    2012年6月20日、第180回国会において成立した
  • 「原子力規制委員会設置法」
  • の附則第五十一条により、環境基本法第13条が削除されました(※1)。1967年の
  • 旧公害対策基本法
  • 以来続いてきた特別扱いの廃止です。


    (※1)条文引用しておきます。

    (放射性物質による大気の汚染等の防止)
    •第13条 放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和30年法律第186号)その他の関係法律で定めるところによる。

    放射性物質についての国の責務と義務

    放射性物質が法律上
  • 公害原因物質
  • になりましたので
  • 環境基本法
  • が定める法制度に基づき、国は、要求される責務や義務を果たさなければならなくなりました。あわせて国は
  • 大気汚染防止法
  • 水質汚濁防止法
  • の規制基準も定めるなどして、法律に従って法整備をしなければいけなくなったということになります。

    環境基本法の大切な条文

    本ではここは大切なところとして条文を引用しています。ここでも引用いたします。(下線は管理者)

  • 国の一般的な責務規定
  • (国の責務) 第六条 国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

  • 政府の環境基準整備義務規定
  • 第三節 環境基準  第十六条  政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする

  • 国の規制基準整備義務規定
  • (環境の保全上の支障を防止するための規制) 第二十一条  国は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる規制の措置を講じなければならない。 一  大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地盤の沈下の原因となる地下水の採取その他の行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置。

    立法形式

    具体的な規制基準は、大気汚染防止法や水質汚濁防止法が定めることになります。放射性物質に関する独立の法律を制定することも考えられます。

    原子力関係法の手直しとは別

    旧公害対策基本法を継承している環境基準法は
  • 産業を規制する法律
  • で、原子力基本法は
  • 産業を振興するための法律
  • という事については前章のところで触れました。
  • 原子力関係法の手直しとは別
  • であることを曖昧にしてしまうと
  • 産業振興を公害法に引き入れる
  • ことになったり、
  • 公害法体系が原子力産業政策で破壊されてしまう
  • 恐れがあり、また原発推進行政側などには両者を曖昧にしようとする動機が働くようです。

    DSC_0441

    法整備はどこまで進んだか

    それでは2015年末現在までの法整備の状況です。

    ※:福島第一原発事故後適用除外条項が削除になった法律
    <>:改正により付加された制度

  • ※環境基本法(13条削除)
  • ※水質汚濁防止法(23条削除)<常時監視と公表条項>
  • ※大気汚染防止法(27条削除)<常時監視と公表条項>
  • ※環境型社会形成推進基本法(2条2項2号削除)
  • ※環境影響評価法(52条1項削除)
  • ※南極地域の環境の保護に関する法律(24条削除)
  • 土壌汚染対策法(2条)
  • 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(2条)
  • 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(52条)
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(2条)
  • 資源の有効な利用の促進に関する法律(2条1項)
  • 特定有害物質等の輸出入の規制に関する法律(2条1項)
  • 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理改善に関する法律(2条)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(2条)参考①

  • 以下の法律は廃棄物処理法の定義が引用されて適用除外となる法律

  • 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進に関する法律
  • 特定家庭用品再商品化法
  • 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

  • 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(刑事法に分類されます。もともと放射性物質にも適用があります。公害国会で制定された重要な法律。)

    参考①:
  • 廃棄物処理法の適用除外規定はそのまま
  • になっていますが、汚染対策特措法が同法の適用除外を設け、行政の定める基準に従って
  • 「ゴミ扱い」出来る事にしました。
  • これは一部削除と同じです。
  • 公害規制なきゴミ扱いです。
  • 公害法の基本構造との関係で大きな問題
  • があります。(これについては後程7-02で触れることになります。)

    実施法整備はエンスト状態

    大気汚染防止法水質汚濁防止法:常時監視条項が設けられた程度。規制基準も環境基準も整備されていない。基準違反という事がなく、罰則の適用がない。

    土壌汚染関係の二つの法律:除外規定がそのまま残っている。