こんにちは。今回は
  • 「制定しよう 放射能汚染防止法」(山本行雄著、星雲社)
  • 「第8章 放射能汚染防止法に取り組む」
  • 「8‐01 法律がおかしい 札幌発の市民運動」
  • についてお話してみたいと思います。札幌市民の会の活動を中心にしたお話です。


    <市民の力で「放射能汚染防止法」を制定しよう ━スタート宣言━>

     2011年3月11日、東京電力福島第一原子力発電所が爆発し、ヒロシマ原爆20個分以上の放射性物質が大気中にまき散らされ、高濃度の汚染水が海中に投棄されています。原発事故から8か月がたちましたが、何ら問題解決されず、私たちはかつて経験したことのない放射能汚染の恐怖にさらされています。

     このような中、未だに、一部の政治家や専門家が「スポット的に放射能の数値が高くても、その場に居続けるわけではないので問題はない」と語る言葉をもう誰も信じてはいません。25年前、チェルノブイリ原発事故が起き、その時点で、原発の安全神話は崩壊していたはずです。しかし、国も電力会社も、事故は外国で起きたことであり、科学技術が進歩している日本で起きることはないとして原発を推進してきました。こうした姿勢は、福島原発事故後も変わることなく、さらに、野田首相は原発輸出を進めようとしています。今回の事故を、「想定外」の一言で責任逃れすることは絶対に許してはなりません。

     農作物や海産物、家畜が放射能汚染を受け、さらに、母親の母乳からセシウムが検出されました。内部被曝による健康被害が大きな問題として突きつけられています。これだけ大きな事故を起こしたにもかかわらず、誰も責任を取らず、罪を問われていません。何故なら、放射性物質が公害法から除外されているからです。

     国は、8月26日、がれき対処の汚染特別措置法を制定しましたが、放射性物質の定義や排出者責任は盛り込まれていません。場当たり的に成立させ、福島原発事故にだけ適用されるもので根本的な問題解決にはなりません。
     現在の原子力関連の法律は、原子力を利用するために作られた法律であり、原発の安全基準も原発推進という枠内のものです。環境・公害問題については、環境基本法や公害防止法など一連の法律がありますが、放射性物質を適用除外しており、これからの脱原発時代には役に立ちません。脱原発とそれに続く廃棄物の始末は、気の遠くなるような長い長い汚染との戦いになります。これ以上、放射能汚染物質を増やさず、今現実に警告されている老朽化原発の事故を阻止し、脱原発を早めるためにも「原発推進」から「汚染防止」の法体系に転換することが必要です。

     私たちは子どもたちを放射能から守り、次世代に持続可能な社会を引き継ぐため、国の放射能汚染に対する抜本的な対策を求め、排出者責任などを盛り込んだ法律の制定をめざします。
     市民による法案づくりを行い、今こそ、原発のない社会を実現させましょう。

    2011年11月11日
    「放射能汚染防止法」を制定する札幌市民の会

    「放射能汚染防止法」制定運動<活動と主な出来事>


    2011

    03.11:東日本大震災 東京電力福島第一原発事故
    06.10:参議院附帯決議「放射性物質に係る適用除外規定を含め、体制整備をはかること」衆議院も同内容附帯決議
    08.26:福島第一原発事故についての政府謝罪と放射性物質による環境汚染防止法制定を求める申し入れ。総理大臣宛、環境省に手渡し(市民ネットワーク北海道)
    08.30:「法制度の抜本的見直し」を汚染対処特措法制定の際附則で定める。
    10.25:「放射能汚染防止法」を制定する札幌市民の会 名称 構成団体決定(注2)
    11.11:「放射の汚染防止法」を制定する札幌市民の会 設立集会 スタート宣言)
    11.24~25:放射能汚染防止法早期制定、公害犯罪処罰法改正求め中央要望活動 衆参両院議長、内閣総理大臣、環境大臣、法務大臣など(市民ネットワーク北海道)
    12.20:江別市議会 放射性物質による環境汚染を防止する法整備を求める意見書 採択
    12.22:北広島市議会 放射性物質による環境汚染を防止する法整備を求める意見書 採択
    12.23:すべての国会議員宛 「放射能汚染防止法」制定、公害犯罪処罰法緊急改正要請書送付(関連冊子同封)


    2012

    01.30:札幌市、環境省全国都道府県及び政令指定都市等担当局部長会議で、同市の要望事項に「放射性物質による環境汚染防止に関する法制度の見直しについて」を入れる。
    02.04:菅谷昭松本市長、上田文雄札幌市長を招いて「次世代へのメッセージ」集会
    02.24:環境基本法改正と「公害犯罪処罰法」に関する緊急アピール
    03~04:全国諸団体へ「放射能汚染防止法」制定運動取り組み呼びかけ
    03.21:石狩市議会 放射性物質による環境汚染を防止する法整備を求める意見書 採択
    06.26:全国市民政治ネットワーク幹事会に「放射能汚染防止法」制定運動呼びかけ(市民ネットワーク北海道)
    06.27:環境基本法13条(放射性物質適用除外規定)削除
    08.02:北海道庁との意見交換
    09~:学識者等への放射能汚染防止法制定運動への理解を求める活動(呼びかけ文、資料送付など)
    09.24:小樽市議会 放射性物質による環境汚染を防止する法整備を求める意見書 採択
    10.01:北海道議会 「放射性物質による環境汚染を防止するための法整備を求める意見書」についての請願書提出 継続審査で終了
    11~ :12年12月衆議院選挙に放射能汚染防止法制定の働きかけ
    11.24:全国市民政治ネットワーク全国集会 分科会テーマに放射能汚染防止法制定、公害犯罪処罰法緊急改正、講師山本行雄


    2013

     ~ 多数回の学習会 札幌市内と近郊市、苫小牧、青森など
    03.29:内閣総理大臣、経産大臣、環境大臣に、脱原発・再生可能エネルギー政策推進及び「放射能汚染防止法」制定申し入れ 放射能汚染防止法を制定する札幌市民の会4構成団体
    06.21:大気汚染防止法、水質汚濁防止法など放射性物質適用除外規定削除
    07.03:日弁連会長宛「放射性物質に係る公害関連法整備の取り組みに関する意見書」提出 上田文雄弁護士、山本行雄弁護士連盟
    09.02:福島現地で住民団体との交流
    10.24:上田文雄札幌市長 放射能汚染「公害」として防止法を 朝日新聞「私の視点」
    11.09 10:大間原発、再処理施設現地訪問、放射の汚染防止法学習会など


    2014

    03.15:放射性廃棄物と環境を考える In 宮古 講師参加山本 宮古市 豊かな三陸の海を守る会
    04.13 脱原発フォーラム(日本教育会館一ツ橋ホール)で放射能汚染防止法制定提言(市民ネットワーク北海道)
    05.21:阻止ネット脱原発フォーラム(院内集会) 放射能汚染防止法制定提起(佐藤典子)
    07.18:通産大臣、環境大臣に対する環境基本法改正に伴う公害法整備、再処理事業廃止を求める申し入れ 放射能汚染防止法を制定する札幌市民の会か各構成団体
    11.07:北海道知事宛 北海道電力泊原子力発電所についての質問書提出(12.5回答)


    2015

     ~ 学習会
    「放射能汚染防止法整備運動 ガイドブック」作成配布など


    2016

    02・16:「放射能汚染防止法」制定を求める院内集会
    報告者 佐藤典子(総括) 弁護士上田文雄 弁護士山本行雄
    放射性廃棄物全国拡散阻止!3・26:政府交渉ネット他主催
    06・03:札幌市議会 放射性物質による環境汚染を防止するための法整備を求める意見書 採択
    07.17:━「放射能汚染防止法」を制定しよう━HKB47市民勉強会IN岡山 2016 岡山コンベンションセンター
    07.23:「放射能汚染防止法」学習会 生活クラブ生協北支部・北斗支部地域連絡会 札幌市北区民センター

    <事故から5年:人々の不安と政策のズレ>

     60%の人が原発再稼働に反対し、不安を持っています。(注2)しかし、国レベルでも、自治体レベルでも、この不安は、政策に反映されず、再稼働に流れています。このズレは、法制度と密接に関係しています。
     原発問題は、過酷事故によって建屋が破壊される事や、圧力容器が破壊される事自体ではありません。そこに猛毒の放射性物質が存在し、それが環境を汚染し、計り知れない害を及ぼすからです。これが人々の不安の根源です。
     現在の原発推進政策は、放射能汚染という最も重要な課題を無いかのように扱って進められています。
     そのため60%の人々の不安は背後に追いやられ、現実の政策との間にズレが生じているのです。

    <不安の根源に立って法整備に取り組む>

     国は、法制度の抜本的な見直しを約束し、環境基本法も改正されたのに法整備を怠っています。放射能汚染という原子力公害を課題に載せないようにしながら、原発再稼働を行い、被災者を汚染地帯に帰還させる政策や、汚染ゴミを公共土木事業で利用する政策を進めています。
     これまでの放射能汚染防止法制定運動を通して言えることは、放射能汚染という、人々の不安の根源に立って活動することの大切さです。その不安を公の場に課題として登場させ、原子力公害から、人と環境を守るための法整備に取り組む必要があるのです。