こんにちは。今回は、「制定しよう 放射能汚染防止法」の162~164ページの「よくある質問」をご紹介します。
安全・防災で議論すればよいと考えておられる方は、再稼働が、農民や漁民に対する被害を無視して進められていることを想起してみましょう。農場や漁場は逃げることなどできないのです。
※第3章表題部囲み記事
サッカーや野球にルールブックがあるように国家の仕組みと役割にもルールブックがあります。
民主主義国家のルールブックの基本はとてもシンプルです。
基本中の基本ルール=法律による行政、法律による裁判・主権者によって選ばれた議員が国会を通して法律を制定する。 ・行政庁の公務員はこの法律に従って仕事をする。 ・裁判官はこの法律に従って判決を書く。 このように法律は行政公務員や裁判官に対する命令書なのです。主権者がしっかりしないと、・国会がだらけて立法機能不全に陥る。 ・行政公務員が、国会に害を及ぼすような法律を通し、これに従って仕事をする。 ・裁判官がこれに基づいて判決を書く。 ・最終責任は主権者が引き受ける。 ・行政公務員や裁判官が「法律に基づいて」主権者にもたらす被害は救済する方法がない。 このようなことになります。ですから、主権者に直結している議会が、国の仕組みの中心として、まともに機能するよう、常に、監視し、働きかけ、立法機関としての責任を果たさせていく必要があります。
Q1 原子力関係法律の規制を厳しくすれば、公害法の規制をしなくてもよいのではないか。
A よくありません。公害法は、公害から人や環境を守るために産業活動を規制する法律です。原子力関係の法律は、産業振興という大きな目標の枠内での法律です。両者は、立法目的も性格も異なります。産業振興法に公害から人権を守る法制度を継ぎ足すようなことをすべきではありません。そのようなことをすると、公害国会で削除になった産業振興との「調和条項」を復活させるよりも更に悪くなります。(3-02、1-03参照)Q2 環境基本法は「基本法」とあるように、単なる理想論だけの法律ではないか、適用されたからと言って期待できない。
A 誤りです。環境基本法は、旧公害対策基本法を前身とする法律で、国が何をすべきかを定めている法律です。反公害運動の成果です。誤ったイメージに陥らないようにしましょう。(3-02、6-01参照)Q3 放射能汚染についての公害規制と言えば、要するに廃棄物処理法を適用することではないのか。
A 全く違います。廃棄物処理法は、公害を直接規制する法律ではありません。公害規制の中心になるのは大気汚染、水質汚濁、土壌汚染を規制する法律です。これらの法整備なしに廃棄物処理法を適用したのが汚染対処特措法です。その結果原子力公害を規制するのではなく拡散しているのです。(7-02参照)Q4 福島原発事故で汚染してしまったのだけら、今更放射能汚染を公害として規制する法律を制定しても意味がないのではないか。
A 間違いです。行政はそのように持っていこうと動いています。(3-03<公務員の反法治主義・反人権活動>参照) がれき、デブリ処理、汚染水管理など、事故関連の対策はもちろんのこと、50基の原発、高レベル、中レベル、低レベルの廃棄物、原発廃炉事業など本格的な原子力公害法=放射能汚染防止法の整備が不可欠です。Q5 再稼働の是非で汚染被害がテーマになっていないのはなぜか。
<類似の質問:再稼働は安全・防災で議論すればよいのではないか>A 再稼働を安全性・防災問題に限定しているのは現在の法律であり、国の政策です。多くの人々もこれに引きずられています。汚染という被害を想定しても、なお、再稼働するのか、という判断が迫られているのです。安全・防災で議論すればよいと考えておられる方は、再稼働が、農民や漁民に対する被害を無視して進められていることを想起してみましょう。農場や漁場は逃げることなどできないのです。
Q6 脱原発が実現しても安心できないのか。
A できません。脱原発が実現しても、地上に出現してしまった大量の核分裂生成物が消えて無くなるものではありません。例えば、デブリの場合、50基の原発の廃炉だけを取り上げても、今の我々より100年後の人々の方が、放射能汚染の脅威に晒されている可能性が高いのです。もうそこまで来てしまったのです。Q7 放射能汚染を公害規制の対象にすると、原子力規制委員会の手を離れ環境省の所管になり、かえって規制が緩くなるのではないか。
A 公害規制の法整備は、官庁の所管以前の問題です。第5章で述べたような、しっかりした公害規制の法整備をする。それに対応した行政機関を整備する。これが鉄則です。考える順番を間違えないようにしましょう。Q1も参照してください。Q8 単なる立法論だ、法治主義?そんなの日本では無理。
A 日本の法治主義の未熟さを指摘するあまり、過去の成果まで否定しないようにしましょう。公害国会で体系化された公害法の体系は、人権擁護の法体系の性格を持っています。国民が、内発的に人権を守る法体系を生み出した歴史を過小評価するべきではありません。Q9 放射能汚染防止法を整備するということは、原発を認めることになるのではないか。
A 「公害産業を認めることになるから公害規制法はいらない」と言うのと同じで誤りです。現在も原発産業は公害規制を免れて維持されているのです。Q10 法整備は裁判と関係あるか。
A 大ありです。裁判は、法律に従って行われるのです。法律による司法は、法律による行政とともに基本中の基本です。まともな法律であっての、まともな裁判、まともな行政です。(第3章表題部囲み記事参照※)※第3章表題部囲み記事
サッカーや野球にルールブックがあるように国家の仕組みと役割にもルールブックがあります。
民主主義国家のルールブックの基本はとてもシンプルです。
基本中の基本ルール=法律による行政、法律による裁判